アホみたいに暑い夏、休日の過ごし方の定番といえば靴磨きですよね。
エアコンの効いた部屋で心を無にして靴を磨くことはマインドフルネスの精神に通ずるところがあると個人的には思っています。
そんなわけで、今日はオールデン990を磨きました。
磨く前は革が曇り、水シミが少々、、
前回磨いてから5回くらいは履いたでしょうか。
表面が曇り、コードバンの特徴であるツヤが少々失われています。
それでも牛革に比べればツヤツヤだと思いますが、コードバンはどこまでも究極的にピッカピカにしたくなる不思議な魅力があります。
また降水確率が30%以上の日は絶対に履かないようにはしていますが、どうしても手を洗った時などは多少水滴がアッパーについてしまいます。
コードバンはとにかく水に弱く、少し水滴が付いただけで水ぶくれのようなシミになってしまいます。
磨けば元に戻るのですが、それでもあれこれ気を使います。
コードバンの靴を履いて行く日は電車のラッシュを避けるために異常に早い時間に出社しています。
まずは汚れ落とし
こちらの記事で、千葉スペシャル流ではステインリムーバーは使わないほうが良いと書きましたが、こちらは千葉スペシャルのスペシャルなクリームで磨いている靴ではないので、普通にステインリムーバーを使います。ただしごく薄く布につけて拭き取るくらいにしています。
下は右足だけ古いクリームなどをステインリムーバーで拭き取った状態です。
ツヤがマットになっています。
プチ脱皮
ここで賛否両論ある「コードバン脱皮」です。
コードバン脱皮は、コードバンの表皮を紙やすりなどで削り取ることで凹凸を究極までなくし、さらなるツヤを求める猛者たちの行いです。
ただし革を削ることになるので、確実に革に薄くなり、失敗すれば10万円を超えるオールデンの靴がお釈迦になる可能性もあり、決して万人にお勧めできる業ではありません。
私もコードバンがどうしてもうまく磨けず、いくら磨いてもインスタで見るようなつやつやのコードバンに仕上がらないため、仕事で疲れていたこともあり、つい魔が差して手を出してしまいました。
ただし私は中途半端な人間ですので、紙やすりでガリガリ行くような男気はありません。
そこで使っているのは「激落ちくん」です。いわゆるメラミンスポンジです。
激落ちくんはヤスリよりもソフトにコードバンの表皮を削り取ってくれるため、失敗するリスクが幾分下がります。
そうです、コードバンに対しては激落ちしないのです。
こちらで軽く表面を削ります。
こんな感じに小さくカットして使います。
激落ちくん表面を撫でると結構カスがでるので、削ったあとは必死に馬毛ブラシでブラッシングします。
こちらが激落ちくん施術後のコードバンです。
やや凹凸がとれ、手触りは明らかに施術前よりも滑らかになっています。
表面の毛を寝かせる
コードバンは本来はスエードのような毛羽立った革です。
それを強引に寝かしつけてあのツヤを出しています。
ただ履いているうちになんども折れ曲り、寝かせていた毛が立ってきてツヤが無くなってきます。
プチ脱皮でもこの毛を削ることでツヤを出す手法ですが、さらに棒などを使ってこの毛を寝かしつけていきます。
ちなみにこの寝かしつける棒は専用のものが販売されていますが、買うと7,000円くらいします。
正直棒に対して7,000円というのは狂気の沙汰です。
買っているのはドバイの石油王くらいでしょうか。
一方で代用品として広く普及しているのは、かっさ棒です。
マッサージなどでリンパを刺激するときなどに使う棒というか道具です。
これなら1,000円ほどで購入できます。
さて、私はというとさらに代用品としてこれを使っています。
こちらの取っ手側が適度に細長い形をしており、革の上を滑らせるのにちょうどいいです。
普通にマッサージするときも使っていますが。
これをコードバンに押し当てて毛を寝かしつけていきます。
この過程でかなりツヤが出てきます。
右足が棒で毛を寝かしつけたもので、左足が寝かす前です。
写真だとわかりづらいですが、光の反射具合が変わってきているのがわかるかと思います。
クリームを塗る
クリームはBootBlackのコードバン専用のものを使っています。
クリームの解説はまた別途詳しく書きたいと思いますが、コードバンにはやはりコードバン専用のクリームを使うのが一番だと思っています。
クリームを塗ったところです。
私はコードバンについては、指ではなく布にクリームをつけて塗布します。
カーフは指で塗ったほうが浸透する感じがしていいのですが、コードバンについては革に染み込ませるというより表面をコーティングするイメージですし、なによりコードバンは指で塗るとムラになります。
クリームを塗ったら、一旦乾くまで待ちます。
私の場合は15分くらいです。
乾く前に磨き始めてしまうと、ただ単に塗ったクリームを拭き取ってしまう気がするので、クリームが革に定着するまでは待ちます。
磨く
クリームが乾いたら、ネル生地を指に巻いて磨いていきます。
カーフの場合、クリームを塗ったあとは豚毛ブラシでブラッシングしたりするのではが、コードバンの場合はブラッシングはせず、直接生地で磨きます。
磨くときはワックスがけをするときのように、生地を軽く湿らせ、水研ぎします。
このときとにかく頑張って磨きます。
エアコンが効いた部屋でも滝汗になるほどに磨きます。
正直「磨いている」という感覚が全然ありません。
ツルツルの表面を「シュシュシュシュ。。。」と撫でているだけです。
ただ、10分くらいこれを続けていると、いつの間にか表面の凹凸がなくなり、ピカピカになってきます。
以前は早くこのツヤを出すために、ワックスを靴全体に塗って磨いていました。
「コードバンはカーフと違ってワックスを全体に塗っても割れない」という話を読んでいたからです。
ただ、全面にワックスをかけてしまうと、どんなに薄くワックスを塗っても必ず履くと白いシワができます。
表面のワックス成分が割れてしまうためです。
確かに簡単にツヤツヤピカピカにはなるのですが、この白いシワが許せないため、私は「コードバン専用クリームを水研ぎする」という方法を採用しています。
精根果てるまで磨いたら完成
くたくたになりつつ完成です。
正直写真だとわかりづらいですが、結構ツヤ感は出ていると思います。
調子に乗ってベランダで撮影です。
日に当ててみると、結構磨きスジが気になりますね、、
あと左右の色の違いが結構あるんですね、さすがオールデン。
靴磨きは終わりなき旅
靴磨きは正解がありません。常に自分にとっての答えを求めつづける終わりなき旅なのです。お後がよろしいようで。